講座・教員 原 章 教授 Hara Akira

研究テーマ

進化計算の探索性能の改善と感性情報処理への応用

進化計算 x 画像生成AI = 対話型デザインシステム

進化計算とは,問題の解を表す個体集団に対して,適者生存の原理や,染色体の交叉・突然変異に基づく子個体生成という遺伝操作を繰り返すことにより,優れた解を作り出す手法です.また,この進化計算を用いて,ユーザ好みのデザインの最適化のように,人間の感性評価に基づいて個体集団を進化させる方法を「対話型進化計算」と呼びます.

本研究では,画像生成AIと組み合わせることにより,人間の感性に訴える訴求力のある解候補を提示できる,より効果的なデザインツールを提案しています.

[1] 澤田渚,原 章,梶山朋子,“画像生成AIを用いて訴求力のある候補解を提示する対話型デザインシステム”,日本感性工学会論文誌,24巻,1号,pp.111-120,2025.
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jjske/24/1/_contents/-char/ja

視線情報に基づく嗜好の推定と対話型進化計算への応用

提示された複数のアイテムの中から気に入ったものを選ぶ際のユーザの視線の動きには,ユーザの好みや迷い,気になった箇所など様々な情報が含まれています.

本研究では,視線情報を時系列情報として扱い,深層学習を用いてユーザの嗜好を自動推定する仕組みを開発するとともに,この機能を対話型進化計算に組み込むことにより,よりユーザフレンドリーなデザインシステムの開発に取り組んでいます.

[2] 常田優人,原 章,梶山朋子,“視線情報に基づくユーザの嗜好と関心領域の推定のための深層学習モデルの検討”,HCGシンポジウム2024,P-1-10,2024.(学生優秀インタラクティブ発表賞受賞)

遺伝的プログラミングによる関数同定

進化計算の中で,与えられた入出力関係を近似する関数を自動生成する手法として,遺伝的プログラミング(Genetic Programming; GP)があります.通常の回帰問題では,入出力の間に,線形や多項式といったモデルをあらかじめ仮定して,その係数を最適化しますが,それに対して,GPによる関数近似は,あらかじめモデルを仮定せず,その入出力を適切に近似できるモデルも含めて探索するもので,関数同定(Symbolic Regression)と呼ばれます.

本研究では,この関数同定問題を効率的に解決するための,問題に応じたGP個体の表現方法(木構造,グラフ構造,リカレント構造,・・・),子個体の効率的な生成のための交叉(ランダムな部分木交換ではなく,親個体の意味を考慮した子個体生成),集団の多様性を維持するための選択や突然変異,といったアルゴリズムの改良に関する研究を行っています.